山と温泉を愛する会
10周年記念文集−98年

  1. 燃える尾瀬
  2. 「後光」と白い虹
  3. 草もみじの尾瀬を訪ねて
  4. 尾瀬の思いで
  5. ホント!よく歩いた尾瀬の旅でした
  6. 紅葉の尾瀬

燃える尾瀬

by KT
一度は行ってみたいと思っていた尾瀬の草紅葉(草もみじ)。今回ついに山と温泉を愛する会の例会にて参加の機会を得た。
登山届けのポストのある登山口でこれから登るメンバーそろって記念の写真を撮る。 どこか冷たさのある風に本物の秋を感じながらゆったりしたペースで登る。前日のやまびこ荘での酒が少し残って気だるい。やがてブナの原生林に入りいまひとつパットしない今年の紅葉に少々不満が残る。穏やかに高度を上げていくとブナが針葉樹に変わり、やがて右手がひらけて、尾瀬ヶ原、燧岳が一望のもとに見渡せる斜面に出る。
尾瀬ヶ原の草紅葉が燧岳のすそまで広がりその中を木道が血管のように走っているのが見下ろせる。まるで小さな箱庭を見ているようである。尾瀬ヶ原を囲む周りの山々の紅葉はこれから始まるのか、もう既に終了したのかはっきりしない。それほど今年の紅葉は中途半端である。
森林を抜けると目の前に障害物が無くなったように急に広々したオヤマ沢田代の湿原が広がる。湿原はまばゆいばかりの黄金色の草紅葉である。思わず感動してシャッターを押し続ける。
森林限界を抜けると目の前に立ちはだかるピークは小至仏山。小至仏山では記念撮影に整理券がいるほど混んでいた。小至仏の頂から望む至仏の山頂はすぐそこに見えるがさらに3つのピークを越えた所に至仏山はあった。至仏の山頂では20名程の人が食事をしていた。燧岳を見ながら至仏山頂で昼食。
下山は新道を山の鼻へ下る。登山道はかなりの急坂で尾瀬ヶ原から望む至仏のなだらかな柔和な山容からは想像できない。尾瀬ヶ原は鳩待峠から200m下りたところにあり、その分一気に下るのだから急坂はあたりまえである。下山道はこれまでの雨で川のようになり歩きにくい。苦労しながら時間をかけて尾瀬ヶ原の湿原に着く。
賑やかな夏とはひと味違う神秘的、幻想的な草紅葉の世界が広がり、草木に金箔を塗りライトアップしたような文字通り黄金の世界があたり一面夕日を受けて一段と輝いている。
一度は体験してみたいと思っていた尾瀬の草紅葉の世界をこうして味わえるのは最高の気分である。
秀吉は城に金箔を張り詰めた黄金の部屋を築いて農民の汗水の犠牲の上でそれを楽しんだが、我々は自分の汗水の努力でこの大自然の雄大な金箔を張り詰めた世界を楽しんでいる。そのスケールの大きさからすれば比較するのは愚というものであろう。
尾瀬の草紅葉に関して文献を探したらキンコウカ、ヌマガヤ、タカトウダイ、オトギリンソウ、ヒツジ草等があり、キンコウカの葉全体が赤橙色になると草紅葉の最高期を迎え、やや遅れてウラジロヨウラク、レンゲツツジ類の紅葉も美しいとある。一つ一つの植物名を知るよしもないがやや大きめで楕円形の葉をして黄葉で水面う彩るのは尾瀬のシンボルのオゼコウホネである。 翌朝6時東電小屋出発薄暗いなかを下田代へ向かう。途中ブナやナラの大木の紅葉が丁度見頃で美しい。昨日の中途半端な紅葉に不満が残っていたがこれで今年の紅葉見物は満足である。
やがて樹木がきれ草紅葉の平原を進む。朝もやの中精一杯夏を乗り切ってきた草たちの衰えを感じさせもの悲しい。もやの遠くの黒い木立が水墨がの世界をおもわせ幻想的でなんとも言えない。
今回は至仏山登山、夕日に輝く燃えるような黄金の草紅葉、朝もや中の水墨画を思わせる草紅葉、燧岳登山などいろいろ体験して最高の山歩きであった。

「後光」と白い虹

by SK
マイクロバスを降りた途端に「ゴォーゴォー」という轟音が響きわたる。山小屋への物資をピストン輸送するヘリコプターの音に出迎えられた鳩待峠ここが尾瀬の入口、ヘリコプターの轟音は、下界から自然界へのとびらを明ける呼び鈴にも「自然を甘く見るな」との警告にも聞こえる。身震いする思いで靴ひもを締め直す。
尾瀬ヶ原への道はこの駐車場からすでに木道で始まっていた。この木道を維持管理するには大変な労力と資金が必要だろうと思う。我々を戸倉温泉からここまで運んでくれたマイクロバスは、リーダーのMTさんが尾瀬の自然を守ってくれている地元の人達に少しでも還元したいとの思いで利用させていただいた地元のバスですが、この木道を見て改めてMTリーダーの気使いと心優しい人間性に触れた思いがいたしました。
木道を歩きながら見る景色はすべてが新鮮に映り、小さな湿地に生えている大きな水芭蕉の葉に感激し、枝にとまっている小鳥に息を止めて見入り、カラマツやダケカンバの大木に見とれ、川上川の河原の木々のカッコ良さに振り返り振り返り、対岸の紅葉に目を奪われなかなか足が進まない、すぐにパーティからとり残されてしまい先頭集団をやきもきさせてしまう。
ようやく辿り着いた尾瀬ヶ原。一面の草紅葉。木道脇に季節外れの黄色い花が一輪又一輪、そして赤い実を付けた草、これは何という名の植物だろうとその都度足が止まる。至仏山に登ったパーティから「もうすぐ頂上に着く」との無線が入る。この調子では至仏山組に追い抜かれてしまうかもしれない。それでも、地塘に映る白い雲・気持ちよさそうに泳ぐイモリ・水面にくつろぐカルガモ・小岩に張り付くように生えているナナカマドの燃えるような紅葉などに時を忘れてみとれてしまう。それまで燧ヶ岳の頂上を隠していた雲が流されて山の全容を表すと、シャッターチャンス到来とばかりに記念写真に精を出す。

常に、燧ヶ岳を正面に見て木道を進み竜宮に到着する。
竜宮の水面に映る自分の影、その頭の部分から波が放射状に走っているではないか、まるで後光が射しているようだ。素晴らしい尾瀬の景観はそのまま極楽浄土となってここを訪れる者皆仏と化して光りを放つのか?。皆が後光を放つ我が身を確認して歓喜する。
二日目、東電小屋の朝は深い霧の中で迎えた。昨日見た素晴らしい尾瀬はすべて霧に包まれ何も見えない、霧に隠れた尾瀬が今日はどんな姿を見せてくれるのか期待に胸が膨らむ。期待を胸に霧の中を燧ヶ岳へ向かって出発する。只見川を渡り見晴らしに向かう途中で霧が薄れ西の空に白い虹が現れた、下界では見たこともない虹は竜宮から極楽浄土への掛け橋か!自然界と人間界を結ぶ絆なのか?。木道脇の灌木には、水滴を無数に付けたクモの巣が朝日を受け手キラキラ光っていた。


至仏山(2228)燧ヶ岳(2356)
(草もみじの尾瀬を訪ねて)

by KK

時 :10月8日(pm9時集合)
9日
:鳩待峠−至仏山−山の鼻−東電山荘   
−8:00 −11:00−− 3:00−− 5:00
10日
:東電山荘 −燧ヶ岳−長蔵小屋−大清水−戸倉
−6:45−−− 11:00−2:00−3:45− 6:00−− 6:30
天気  :晴れ
秋の台風通過後、秋雨前線が一週間動かず毎日雨、当日は晴れたが新潟地方のみ雨マーク、少し欠けたきれいな月を見ながら森林公園に着く。久し振りの安良城さんや柏谷さん達と賑やかな挨拶をかわしながらバスに乗る。知っている顔がたくさんいる総勢18人。
少し眠ったのかと思っているうちに戸倉温泉に着く。朝食前1時半間程寝る。頭がすっきりする。 鳩待峠で登山組と尾瀬ヶ原歩き組に分かれる。登山組男性3人、女性6人。 台風と秋雨のためかダテカンバがきれいに紅葉せずに茶色っぽくなり散りかけている。なだらかな歩き易い道。景色を楽しみながらゆっくり歩く。オヤマ沢田代の湿原まで登ると前方の尾瀬ヶ原と雲に隠れていた燧ヶ岳がきれいに見えてきた。
手前の小至仏山、ハイマツの緑の綺麗な端正な至仏山、下方には黄金色の尾瀬ヶ原とそれに続く燧ヶ岳、空も明るくなり絶好の登山日和。
一つ山を越すとピークが現れる、もう一つ越すとまたピークが現れる。やっと小至仏山に到着小休止。誰かが『おこじょがいる!』岩の間から飛び出し一瞬キョロキョロと見回しサッと消える。ワーと歓声。すぐ現れて違う岩に隠れる。長い胴体と愛嬌のある丸顔の目がかわいい。
ひと頑張りで至仏山頂に到着。皆余裕の表情。180度の大パノラマ、青空にたつ燧ヶ岳、広大な尾瀬ヶ原。ヤッター
Mさんが無線でYさんと交信している。山の鼻まで着いていないとか。お弁当を食べて下りはじめる。
鳩待峠から尾瀬ヶ原まで続くダテカンバの優しい黄緑色、麓辺りの鮮やかな紅葉。穏やかな木道を尾瀬を独り占めで気分よく下る。あっという間に山頂が遠のく。
木道が切れた途端ゴロゴロの岩道が真下にに向かっている。昨日の大雨で道がぬかるんで滑りやすい。夫と先頭を歩いていたがいくら待っても後ろが来ない。戻るとA子さんが転んでおでこから出血している。そしてOさんの足がつっていた。シップを張ってゆっくり出発。 尾瀬に向かって真っ直ぐ降りて行く。素晴らしい景色なのに水が道に川のように流れて滑りやすい。注意深く足元ばかり見て歩くがなかなか湿原に近づかない。
山の鼻に着いた時はもう秋の早い夕暮れを感じる。改めて至仏山の直線の下山コースを仰ぎ見る。スゴイ!大変だった。 地塘のひつじぐさの柔らかな色合い、竜宮辺りの綺麗な紅葉、明るい燧ヶ岳と湿原、太陽が沈みゆく至仏山を楽しみながら足を早める。
10日 6時45分、東電小屋出発。
ひんやりとした朝の空気が心地よい。小屋を出るとすぐに、ナラ、ブナの林に入る。期待していたやさしい黄色の紅葉。尾瀬ヶ原橋を渡ると、太陽が昇りはじめ、湿原にたちこめていたもやが晴れていく。 下田代十字路の山小屋を抜けるとブナの樹林帯にはいる。大好きなブナが朝日に光っている。木肌の美しいブナの原生林を抜けると急登になる。高度をかせぐごとに、視界が開け、湿原に刈り入れ前の稲田のような懐かしさを感じる。
右手に尾瀬ヶ原、左手に尾瀬沼、青空に双耳峰の山頂が見える。祭日の今日は二つの山頂、尾根道はアリの行列。頑張って柴安ーに到着。絶景。人が一杯で順番に証拠写真をとる。二つの峰の間は人が途切れないほど多い。
俎ーでお弁当。こんなに賑やかな山頂はひさし振り。
今日は大清水まで距離が長いので湿原を歩く人達を待たせては悪いと思いペースを早めてきたが、下山するにしたがい、こちらの方が早く長蔵小屋に着きそうな気配。
途中雨に降られ、早足で長英新道を下り、大江湿原に着く。湿原の木道を歩く人達をみてこれぞ尾瀬の風景。絵葉書を見ているようなゆっくりとした時間の流れを感じた。
山と温泉の会には2、3回しか参加していなかったが、昔からの知り合いのような気がしてとても楽しかった。時間にも何にも制約されない行動に羨ましく人生観が変わりそうな3日間でした。

尾瀬のおもいで

by KH
「お母さん”山と温泉”の何とかって人から電話だよ」とHさんから連絡の電話を頂く時、家族の者は変わった名前の会だと思って会の名前がなかなか言えません。 
私がこの”山と温泉を愛する会”と知り合って2年になります。初めての山行きは3月半ばに白草山でした。 登り口から雪道で登るに連れ雪は深くどうなることかと不安な登山でした。 幸い遭難する人も無く無事下山しましたが、この先どこへ登るのかと、ちょっぴり不安を抱いたりもしました。
でもその年5月末の尾瀬行きは、みごとな水芭蕉とリュウキンカの咲き乱れている尾瀬ヶ原に歓声を上げました。”遙かな尾瀬遠い空・・・”歌にも唄われている様に、尾瀬は憧れていてもなかなか行けません。
今年はその第2回目、秋の尾瀬ヶ原の大きさすばらしさ、本当に言葉にならない位感激しました。
それと共にこのすばらしい景色を残すために陰で御苦労をしてくれる人達に感謝しなくてはいけないし、私達の周囲で今問題になっている海上の森、藤前干潟の問題も後世美しいまま残していくために真剣に考えていかなければならないと考えを強くしました。


ホント!よく歩いた尾瀬の旅でした by OT
あらためて地図で測ってみると、何と2日で34Kmもありました。どおりで、足に「マメ」ができるはずです。
でもその割に帰ってからの疲れはありませんでした。
きっと素晴らしい自然の中に丸2日ゆっくり浸ることができ心も体もリフレシュできたのでしょうね。 ところで私にとって尾瀬は今年の春に続いて二度目でした。不思議なことに何度でも行きたくなる所です。
一番嬉しいのは空気のおいしいこと、次に植物の色鮮やかなこと。
鳩待峠から歩きはじめて、最初に出会った紅葉の色に「はっ」と、うれしくなりました。来年7月の「ニッコウキスゲと至仏山の旅」きっと、もっと感動的でしょうね。今からとても楽しみです。
それまでに何とか体を鍛えないと・・・・ 尾張旭山と温泉を愛する会の皆さん頑張りますのでまた連れていって下さい。 お願いします。 楽しい旅ありがとうございました。

紅葉の尾瀬 by OH
−2泊3日−夜行の大山行、冬支度での心得から荷物がまとまらなくて、両手にぶらさげて森林公園まで歩くのにやっとこさ。 この先どうなることやらと、バスに乗り込み一路夜のハイウエイを快走、暗いうちに戸倉温泉、民宿で1時間程ゆっくり眠りにつき鳩待峠へバスで登る。 この頃から木々の色づきが見られ青い空に凛とした空気で身もひきしまった。  至仏山への登りはなだらかで気持ちがよいし木道で歩きやすく、愛らしいオコジョに出会うことができ、楽しさ倍増、頂上からは燧ヶ岳と尾瀬ヶ原が一望のもと、草もみじの秋色を味わいました。 下山は滑りやすい岩に足もとを取られ、かなりくたびれた。  山の鼻からは木道を燧ヶ岳に向かって”もくもく”と歩く中、一輪の花を見つけ喜び、地塘に写る山影や、浮島、ひつじ草が陽を受けて光っている水面は美しい模様のようでした。  2日目の早朝、 あさもやの中を赤や黄色に染まった林道は本当に素晴らしかった。 とにかく好天に恵まれ2山征服できたことは感謝でした。

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